短歌

古川幸太郎さんの短歌(京都文芸より)

こぼれたる種より生えし朝顔に細竹立てて蔓巻くを待つ 2017.8.21 かぶりつく西瓜に頬を濡らしつつ里帰りの児は口もきかずに 2017.9.4 集落の小さき家具屋の店先に無人販売のイチジク置かる 2017.10.9 少年の声となりたる児の電話久しく逢わねば敬語の混じる …

梅村敦子さんの短歌(近江文芸より)

夭逝の画家の自画像切なげにあと数日で終戦なるに 2017.8.20 竹林の闇より聞ゆる法師蝉あと幾日の命つなぐや 2017.9.3 車内にて大声嚥下強化策パパパカカカタタタ 2017.11.26

伊庭健博さんの短歌(近江文芸より)

街灯の光を浴びて降る雪の舞ひ散る様を独り眺むる 2017.3.5 休日の鯖街道を登りきて山びこを聞く熊川の宿 2017.5.14 三人の息子交互に剣玉す競ふ中にも個性現る 2017.5.28 門先にじっと動かぬかたつむ物珍しく吾子の眺むる 2017.7.23 顔赤め全身で泣く吾子抱…

海津 勝さんの短歌(近江文芸より)

県境の雪山よりもなお高く二羽の鳶舞う早春の空 2017.3.5 年金と持病の話題に盛り上がりグランドゴルフの休憩終る 2017.5.14 午前五時目覚めて想うその昔母と苗取りし水の冷たさ 2017.5.28 待ちかねし夜半の雨音心地よく植えし野菜を思いて眠る 2017.6.11 そ…

中川徳司さんの短歌(近江文芸より)

母逝きて三年毎夜の正信偈額の遺影も微笑みて見ゆ 2017.3.5 饗庭野の演習野砲の低き音垂れ込むる雲に響きて重し 2017.4.16 を去る四百年の昔より漁権争いし古文書読む 2017.5.14 春の湖オイサデ漁のコツを聞く追い手受け手の阿吽の呼吸と 2017.5.28 あざやか…